悪と正義の対比は眉唾もの

2011年7月2日 | からnakmas | ファイル: 本 book.

山本周五郎 『栄花物語』 新潮文庫

話の主題の流れは、男女の紆余曲折、いろいろな情況が負のスパイラルに突入して、思いつめた末に身の破滅。。。という純小説的な構成。

この本を読み始めた目的は、田沼意次という人物がどんなことをしたか、どんな思いだったかを知ることだったんだけど。そういう意味では若干の肩すかし。でも、このままでは武家社会は早晩息詰まるという危機感、それを打開しようとする使命感から、政策立案する過程はとても興味深く書かれていた。

田沼ほど、日本の歴史の中で生きていた当時も、そして現代に至るまで、勝者(体制側)の論理によって断罪されている人はいないかもしれない。
同時に、松平定信ほど、当時も現代も、身分上や実績の面でも、事実と間違ってとらえられている人も珍しいかもしれない。
こんな思いを最近持ち始めていた。「賄賂政治の権化」と「高貴で清い改革者」という悪と正義という二極ものさしで語られる話は、ほとんど眉に唾してかからないと、真実を見いだせない。

田沼を追いかける冒険は続く。


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