美しくて、命をまっとうしたペット

2025-08-20 | からnakmas | ファイル: 本 book.

言わずと知れた、ショートショートと言えば、
星新一 著 『ボッコちゃん』

おそらく全体としてはファンタジーととらえられるだろうけど、
意図して、現実への風刺、寓意が織り交ぜられているのは間違いないだろう。

その中に収録されている作品 「月の光」。
内容を書き出したら、すぐにネタバレの線に触れて超えてしまうので、
要注意なのだが。

「ペット」はとても美しい生き物で、
外界から隔離された環境で暮らしていて、
エサは毎回、主人が手ずから食べさせている。

主人がエサに添える「愛情という副食物」という表現にぐっときてしまった。
副食物を”おかず”と言い換えてしまうと一気に興ざめてしまうが。。。
大切な人にあげる食事では、愛が「副食物」なのかと。
(ついでに、人間にとっての「言葉」がどんなものなのか、その表現もなかなかシニカル)

物語としては、主人の健康が急変し、このペットは・・・・・と展開していく。

ペットが主人なしでも生きていけるように”自立”させておくべき、
という議論はおそらくあるだろう。

ただ生きている期間の長短なんてだれにもわからないんだから、
「添い遂げる」みたいな情念たっぷりの言葉に寄せようとは思わないけど、
それぞれの命をまっとうできればそれでめでたしでよいと、個人的には思う。
(長く生きるのが最善みたいな論調はつらくなる)

もし自分で生きていける力を、ペットやこども、身近な人間に持ってほしいと望むのであれば、
それ相応の対応、行動や気持ちの選択が必要だろうとも思う。
その一部が教育であり、生活環境を整えることであり、となるだろう。


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